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・ 普通教科「情報」の指導と評価について

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2 ポートフォリオ作成のすすめ
<ポートフォリオの作成による自己評価>
 ポートフォリオとは、学習過程での生徒の一連の作品を、目的をもって収集してファイルに綴じ込んだものです。元来、建築家やデザイナーなどが自分の技能や技術、成し遂げた仕事やその軌跡を、顧客などに見せるために作成したファイルのことで、その人の仕事の実績やセンス、技能などを相手にアピールするために作成するものです。教育分野におけるポートフォリオでは、すべての内容を綴じ込むのではなく、記録に残すものを教師と生徒で選択したり編集したりする活動が重要になります。ポートフォリオを作成する活動自体が、自分の学習の進捗状況や達成状況を認識し、今後の学びの目標や方向を見いだしたり、自分の学習課題を発見したりするために役立つといわれています。ポートフォリオを評価に活用することをポートフォリオ評価といいます。
 普通教科「情報」の授業は、生徒が実習において多くのレポートや作品を作り、これらの実習を通して自らの情報活用能力を高めていくという展開になります。したがって、普通教科「情報」の授業でのポートフォリオ作成は、これらのレポートや作品を、自己評価や相互評価、教師の評価などとともにファイリングしていくという活動になります。さらに、自分の長所や授業の成果を伝えられるようにしていくために、ポートフォリオを編集する機会も設けます。このようにポートフォリオを作成していくことは、自己評価をさせたり、評価を蓄積したり、振り返りを促したりする活動として、たいへん有効であるといえます。
 
<ポートフォリオを活用し、評価と一体化した指導を>
 ポートフォリオ作成の活動では、学習の進行に合わせて次ページ図7のような手順を繰り返しながら蓄積していきます。教師は、学習の節目ごとに、生徒のポートフォリオを使ってレポートや作品の説明をさせたり、質問を投げかけたり、議論をしたりしながら、その生徒の学習状況を評価していきます。生徒は教師との話し合いにより、学習の目標に対する到達度や得意なところ、不足しているところに気付くことができます。
 ポートフォリオをこのように取り扱うことは、指導と評価を一体化させる意味でたいへん意義のあることと考えられます。ポートフォリオ評価を指導に生かすためには、作品や評価の内容について良し悪しなどの価値判断はあまりせず、生徒の傍らで支援し、一緒に考えていくことが教師に求められます。
 
<ポートフォリオと説明責任>
 生徒だけでなく教師自身もポートフォリオを作成することができます。作成した教材やワークシート、テスト問題などを、自身の意見や分析、考察などを付け加えて編集し、ファイリングしておくことが教師のポートフォリオになるからです。
 現在、学校では、授業の内容や成果、評価などについての説明責任が求められています。ポートフォリオ本来の「仕事の実績やセンス、技能などを相手にアピールする」という本来の意味に立ち返れば、教師や生徒の作成したポートフォリオは、まさに授業の成果を説明する絶好の資料であるといえます。
 
図7
図7 ポートフォリオ作成と評価活動の手順
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