子どもは、読書活動によって、智恵や思索の源となる言葉を学び、表現力を高め、創造力を豊かなものにしていきます。また、心に深く残る読書の経験は、心の栄養となり、豊かな情緒や繊細な感性をはぐくんでいきます。
しかしながら、テレビ、ビデオ、インターネット等の様々な情報メディアの発達・普及や子どもの生活環境の変化、さらには、幼児期からの読書習慣の未形成などにより、子どもの「読書離れ」が指摘されています。
このような中、平成13年12月に、読書のもつ計り知れない価値を認識して、子どもの読書活動を国を挙げて支援するため「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行されました。また、平成14年8月には、この法律の規定に基づき、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定され、平成14年から18年までの5年間の施策の基本的方向と具体的な方策が示されました。
本県においては、平成11年度から、「栃木の子どもをみんなで育てよう」運動を推進する中で「『本の時間』をつくろう」を実践指標として定め、家庭、地域、学校において読み聞かせや読書の時間を設けて大人が子どもとともに本に親しむことや、読書を通じて子どもの豊かな心や創造性をはぐくむことを期待して、啓発・広報活動を展開しています。
こうした国や本県の動きを踏まえ、平成16年2月には、県内のすべての子どもたちが、あらゆる機会や場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、家庭、地域、学校を通じた社会全体で取り組むための環境作りを目指した「栃木県子どもの読書活動推進計画」が策定されました。
本調査は、その施策の一つとして、幼児や児童生徒の読書活動の一層の推進を図るため、読書指導に関する先進的な取組について、特に「心の教育」に視点を当てて紹介したものです。本資料が、家庭、地域、学校が一体となった「子どもの読書活動推進」の一助として活用されることを期待しています。
おわりに、本冊子の作成にあたって、調査に御協力をいただいた保育園、幼稚園、小・中学校及びその担当の方々、そして関係諸機関の方々に心から感謝の意を表する次第です。
平成16年11月
栃木県総合教育センター所長
佐藤 信勝 |
 |