小学校外国語活動指導者研修 平成21年度受講者アンケート集計結果
目的: | 研修後1年が経過した時点での受講者の状況を、自己評価を通して調査することにより、研修の成果や課題を明らかにし、今後の研修改善に役立てる | |
---|---|---|
対象: | 「平成21年度小学校外国語活動指導者研修」受講者100名 | |
実施時期: | 平成22年9〜10月 | |
実施方法: | 受講者本人が、インターネット上にある栃木県総合教育センターのホームページから記名で回答 | |
回答者数: | 93名 | |
集計結果: | 回答全体についてのグラフ |
1 今年度の外国語活動について、該当する項目をクリックしてください。
(1) 現在、主に担当している外国語活動の学年をお答えください。(複数回答可)
(2) 現在外国語活動を担当していると答えた方にお聞きします。
*現在、主にどの形態で外国語活動を実施していますか。

*現在、主に授業中に使用している教材は何ですか。

2 研修後から現在の状況について、5段階で自己評価しクリックしてください。
(1) 当研修での研修内容を、いろいろな機会を捉えて他の教員に伝えてきた。

(2) 研修中に講師が紹介した指導法やアイディアを授業で実践してきた。

(3) 研修中の模擬授業の内容を外国語活動の授業に活かしてきた。

(4) 外部の研究授業や研究大会にできるだけ参加してきた。

3 校内研修についてお答えください。当研修終了後、今までに外国語活動についての校内研修を実施しましたか。

*「実施した」と答えた方にお聞きします。外国語活動の校内研修では、どのようなことを実施しましたか。(複数回答可)

*「実施しなかった」と答えた方にお聞きします。実施しなかった理由を具体的にお書きください。
主な意見を掲載します- 校内研修の計画に組み込まれていなかったため。
- JETやALTを通して、各学年の授業に研修の内容を取り入れて実践してもらったため。
- 学校(市町)全体として、ALTに任せた方が質が高いという雰囲気があるため。
- 地区の研修会で研修内容を伝達したため。
- 学校で外国語活動の担当でないため。
- 小規模校なので、研修という形をとらずに伝達したため。
- 在籍児童に対象となる児童がいなかったため。
4 自分の英語力の向上のために、自主的に取り組んできたことはありますか。

*「ある」と答えた方にお聞きします。どのようなことをしてきましたか。(複数回答可)

5 次の質問に具体的にお答えください。 (「なし」の場合は「なし」とお書き下さい)
(1)昨年受講した小学校外国語活動指導者研修の内容(セッション)の中で、特に役に立っているものは何ですか。
*主な意見を掲載します。
- 班別活動で指導案を作成し、実際に模擬授業をしたこと。
- 他の班の模擬授業を見たこと。
- 自分の班はもちろん、他のグループの授業の略案。
- 「英語ノート」活用法についての研修。
- チャンツの活用の仕方。
- クラスルームイングリッシュの練習。
- TTの際の学級担任としての支援の在り方。
- 他の先生方に教えていただいたちょっとした授業のコツ。
- 学級担任として外国語活動に取り組む姿勢。
- TTでの指導法についてのDVD。
- 講師の講話内容(いろいろな捉え方があったが、自分なりに解釈して授業に生かしている)。
- 講師が紹介してくれたすぐに使える外国語活動の活動例。
(2)外国語活動に関して、現在あなたが感じている課題は何ですか。 *主な意見を課題別に掲載します。
- <授業について>
- まだまだスムーズに授業が進められない。
- 教材研究をする時間の確保が難しい。
- 児童が英語を話すことに抵抗を感じさせないための工夫や発表のさせ方をどうしたらよいか。
- コミュニケーション活動ではあるが、英語特有の発音のスキルにどのくらい触れるべきか。
- 「英語ノート」以外のコミュニケーション活動をどのように組んでいくか。
- 普段のコミュニケーションが苦手な児童を、いかに積極的に外国語活動に取り組ませるか。
- 個に応じた指導。(ほとんどの児童が楽しんでいるが、中には楽しめない児童もいるので何とかしたい)
- 情報・教材が少ない。
- 子どもの発達段階にあった課題をどう与えるか。
- 現在はALTが教材を準備してくれるが、ALTがいなくなると負担が大きくなる。
- 文字の扱いをどうしたらよいのか。
- 高学年を担任しないと外国語活動の授業をする機会が少ない。
- <ALTなどについて>
- ALTとの連携をどうしたらよいのか。
- ALTや英語活動支援員と、担任の役割等の話し合いの時間を確保することができない。
- <英語力について>
- 自分の中に英語に対する苦手意識がある。
- 授業中に必要な英語がでてこない。
- ある程度正しい発音を心がけたいが、なかなか正しい発音が身につかない。
- <校内体制に対して>
- 全職員が外国語活動に対しての意識改革をする必要がある。
- 外国語活動を担当している高学年の担任と、他学年の担任の取組の差が大きい。
- <その他>
- 子どもたちが外国語活動で学んだことを生活の中で生かす場がない。
- 低学年のうちにもっと外国語活動をやるべきだと思う。
- 他の国(台湾や韓国)と日本では、児童が英語に触れる時間に差がある。
- いかに英語嫌いにさせないか。
- 複式学級での外国語活動の進め方はどうしたらよいか。
- 担任は他教科の指導もあるので、外国語活動にばかり時間がかけられない。
- 中学年の外国語活動の在り方。
- 指導者の研修の機会が少ない。
- 地域によってALTの数など、差がある。
- 小学校の段階では耳からの英語でよいということであるが、中学校に行くと表記に苦労している様子である。
(3)今後さらに研修してみたい内容はどのようなものですか。 *主な意見を掲載します。
- 英語ノートの活用例。
- 実際の授業で使える活動。
- 効果的な外国語活動の一時間の流れ。
- 外国語活動の評価について。
- 県内、国内の外国語活動の実情。
- 低・中学年の外国語活動について。
- 自分の英語力を高めるための研修。ネイティブによる英語力養成研修。
- 英語塾での取組や、中学校での取組。
- 模擬授業や研究授業の参観。
- 児童の実態に合わせたプランの組み方。
- ALTとのTTを実際に研修の中で行いたい。
- 電子黒板を活用した指導法。
- 英語の歌、ゲーム、チャンツ。
- 中学校での文字指導への橋渡しの方法。
考察
アンケート項目の「そう思う」「どちらかとそう思う」の回答の合計をパーセントで示すと次のようになります。
2 (1)当研修での研修内容を、いろいろな機会を捉えて他の教員に伝えてきた。・・・・・・・・ | 67% |
(2)研修中に講師が紹介した指導法やアイディアを授業で実践してきた。・・・・・・・・・・・・・ | 83% |
(3)研修中の模擬授業の内容を外国語活動の授業に活かしてきた。・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 72% |
(4)外部の研究授業や研究大会にできるだけ参加してきた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 39% |
多くの先生方が、研修の成果を各学校で実践していることが分かります。しかし、時間の関係で校外での研修にまで参加するのは難しいようでした。
また、「4 自分の英語力の向上のために、自主的に取り組んできたことはありますか。」という問いに関しては、73%の先生方が取り組んできたと答えています。先生方がCDやPCを利用したり、ALTと対話をしたりして、自身の英語力の向上のために努力されていることが分かりました。
文部科学省からの通達により、今後数年の間に、各学校に2名の外国語活動の中核教員を養成することになります。栃木県として、「各学校において外国語活動を推進していくリーダーを育成する」ことを目的として本研修を実施しています。 「3 当研修終了後、今までに外国語活動についての校内研修を実施しましたか」の問いに関しての結果は、「実施した72%、実施しなかった28%」でした。多くの先生方が各校において研究授業や授業研究会などの校内研修を実施してきたことが分かりました。実施しなかった理由で一番多かったのは、「研修の時間が確保できなかった」ということでした。校内研修の時間をまとめてとることが難しい場合には、短時間で何回かに分けて実施するなど、各校の実情にあわせて実施方法を工夫し、できるだけ多くの先生方にぜひ研修の成果を伝えてほしいと思います。
「5(2)外国語活動に関して、現在あなたが感じている課題は何ですか」という問いに関しては、多くの意見が寄せられました。授業に関する内容が一番多く、実際に授業を実施していく中で様々な課題を感じられていることが分かります。
以上のようなことから、校務等で時間がなかなかとれない中で、いろいろな課題や不安を感じながらも、自己研修に努め、児童のためによりよい外国語活動を実施する努力をされていることが分かりました。
現在、県内のほとんどの小学校で外国語活動が行われています。アンケートの結果にもあるように、授業中に使用している主な教材は「英語ノート43%、市町教委作成の教材25%、学校作成の教材13%」です。また、アンケートによると、現在はALTや日本人の外国語活動指導者等とのTTで外国語活動を実施している先生が約90%です。しかし、今後は英語ノートなどの教材を使用して学級担任が一人で実施していくことが増えてくることが予想されます。「なぜ学級担任が外国語活動を教えなければならないのか」という負担感や、「英語力には自信がない」という不安を感じている先生も多いと思います。学級担任は、児童の興味・関心や生活についてよく理解していて、児童が楽しめる活動や他教科で身に付けた知識と関連付けた活動を取り入れた学習活動が行えます。たとえ流暢な英語でなくても、人と積極的に関わり合い、自ら英語に慣れ親しもうとする学級担任の姿勢こそが、児童が外国語に対する興味・関心をもつ大きなきっかけになります。これらが学級担任が外国語活動を指導する理由です。児童のコミュニケーション力の素地を養うため、今後も小学校外国語活動を推進していただければと思います。
最後になりましたが、お忙しい中アンケートにご協力いただきありがとうございました。寄せられたご意見と集計結果を検討し、今後の研修に生かしていきたいと思います。